安心して「免許返納」を考えるために ~地域の代替交通支援の現状と今後の議会活動~
高齢者の皆様の移動手段について考える
近年、高齢ドライバーによる交通事故が社会的な課題として取り上げられることが増えています。このような状況の中で、ご自身の意思で運転免許証を返す、いわゆる「運転免許自主返納」を検討されたり、あるいは既に行われた方もいらっしゃるかと存じます。
運転免許証を返納することは、ご自身の安全はもとより、地域全体の交通安全にもつながる大切な選択であります。しかしその一方で、これまで当たり前のように使っていた自動車が使えなくなることで、「買い物に行きにくくなる」「病院への通院が難しくなる」「友人との交流が減ってしまうのではないか」といった、日々の生活における移動への不安を抱かれる方も少なくないとお聞きしています。
住み慣れた地域で、これからも安心して快適に暮らしていくためには、免許返納後の移動手段をどのように確保していくかが非常に重要になります。地域の皆様が抱えるこのような不安や課題に対し、政治家としてどのように向き合い、どのような活動をしているのかをご報告させていただきます。
免許返納後の生活と地域の声
ご高齢になるにつれて、身体機能の変化などから運転への不安を感じる方が増えてまいります。安全を第一に考え、免許を返納するという判断は、ご本人にとってもご家族にとっても大きな決断です。
しかし、特に公共交通機関が十分に整っていない地域や、坂道が多い地域では、自動車が生活の「足」として不可欠な場合も多いのが実情です。免許返納後、以下のようなお困りごとの声をお聞きしています。
- 近所のスーパーまで歩くのが大変になった。
- 病院への定期的な通院に家族の送迎が必要になった。
- 友人宅や地域の集まりに出かける機会が減った。
- 重い荷物を持っての買い物が難しくなった。
このようなお困りごとは、単に移動の不便さにとどまらず、地域社会からの孤立につながりかねない、深刻な問題だと考えています。
地域で行われている代替交通支援の現状
皆様の移動の不安を軽減し、免許返納後も活き活きと地域で暮らしていただけるよう、現在、私たちの地域ではいくつかの代替交通手段の支援が行われています。
例えば、路線バスやコミュニティバスの運行、タクシー運賃の一部助成、そして「デマンド交通」と呼ばれる、利用者の予約に応じて運行する乗り合い式の交通サービスなどがあります。また、運転免許自主返納者の方を対象とした、公共施設の利用割引や提携店舗での特典なども実施されています。
これらの取り組みは、地域の状況に合わせて実施されており、一定の効果を上げていますが、地域によっては「バスの本数が少ない」「デマンド交通の利用方法が分かりにくい」「自宅の近くに停留所がない」といった、改善を求める声も寄せられています。
議会での取り組みと今後の展望
皆様からいただく貴重なご意見やご要望を真摯に受け止め、私はこれまでも議会の場で、高齢者の皆様の移動手段確保について積極的に提言を行ってまいりました。
具体的には、
- 既存の公共交通網の維持・改善に向けた行政への働きかけ
- デマンド交通の利用対象エリアの拡大や、予約システムをより分かりやすくするための提案
- 運転免許自主返納者への特典制度の一層の周知と拡充の検討
- 地域住民やNPOなどによる、互助の精神に基づいた送迎サービスの可能性についての調査・研究
などです。
これらの活動を通じて、行政だけでなく、地域住民の皆様、交通事業者など、様々な立場の関係者が連携し、この課題に取り組む必要性を訴えてまいりました。
今後の展望としましては、AIやICTといった新しい技術を活用した効率的なデマンド交通システムの導入可能性を探るほか、地域の中で支え合う「助け合い」の仕組みをどのように育んでいけるかについても、皆様のお知恵を拝借しながら検討を進めていきたいと考えています。
安心して移動できる地域を目指して
高齢者の皆様が、たとえ運転免許証を返納されても、住み慣れた地域で変わらず社会とのつながりを持ち続け、安心して日々の生活を送れるようにすることは、私たちの地域にとって大切な目標です。
この目標を達成するためには、行政や議会だけでなく、地域住民の皆様一人ひとりのご理解とご協力が不可欠です。どのような代替交通手段があれば便利になるか、地域の中でどのような支え合いができるかなど、皆様のご意見をぜひお聞かせいただきたいと思います。
「まちかど議会ONLINE」は、そのような皆様の声を行政や議会に届け、共に地域をより良くしていくための広場です。このページを通じて、皆様とよりオープンな対話ができることを願っております。
この課題に対し、政治家として今後も誠実に活動してまいりますので、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。